2009年11月30日月曜日

馬喰語源考

馬喰語源考
 博労,馬九郎,馬口郎,馬郎は皆同じで牛馬の周旋を生業とする.本来は馬のみを扱うのが馬クロウで,牛を扱う者は仲間内では牛博労と呼んで区別する.牛博労は更に細分化し,色々な名称が付けられている.
 馬クロウと呼ぶ時に最初に考えるべき事は馬をバと呼ぶ事である.普通には馬の音はムマ・マ・メでバは漢音である.もし,これをマと読むならマクロウとなって競馬用語になってしまい,メクロウなら女衒となる.
 次はクラウである.一般には喰らうの文字を充てたが,喰らうの文字は家畜を扱う者が最も嫌う言葉で,是故に九郎,口郎・・・博労の語が作られた.もし,食べる事を意味するなら喰らうではなく動詞の喰らふとなる.この言葉はクロウトの略で,漢字で書くなら馬玄人から人を取れば良い.玄人とは物事に明るい人,反対が素人で,バクロウとは馬の事に特に通じている者を指す言葉である.ならば,牛の玄人は何と呼ぶか?バクロウ仲間はこれをウシバクロウと云う.無理に牛をゴと読むはご苦労様となる.
 駄馬とは荷を荷う馬で,ダバと呼ぶ.労賃が駄賃である.ダマ・ダメと読めばまるきり別のものになる.
 シロウトは素人と書く.類縁の言葉に青二才がある.この青は馬の毛色の青で,音はアヲでアオではない.青みがかった艶のある濃い灰色の二才駒.生意気盛りで素人の手には負えない.手練の馬玄人のみが扱える馬で,この馬がもしハミを外せば・・・日本語の中には動物に関する言葉が沢山隠されているようである.
学而不思則罔